「卓上先行者 精密上級版」製作講習会









しぇんしぇんぶい。

ええ、各位、毎日出撃ご苦労様です。


自分は先行者開発部技術補佐工作員、MX41であります。
以後宜しくお願い致します。

今回は自分の企画しました「卓上先行者 精密上級版」の製作に当たって、お忙しい皆様にお集まりいただきました。
歴戦の兵たる皆さんに自分のような若輩がご指導差し上げることになるとは恐縮至極でありますが、どうかお付き合いください。


なお、もし出撃指令が入られました場合、どうかご遠慮なくご退席ください。
お手洗いは廊下を左に出まして突き当たりです。
お茶ご所望の際は自分までお申し付けください。茶運び先行者がお持ちします。




それでは、早速製作に取り掛かりたいと思いますが、その前に使用工具の確認を改めてさせていただきます。


まず、

・よく切れる。当然ですね。

・よく切れる小刀。折刃式カッターでも、デザインナイフでも結構です。

。澱粉糊、科学糊、どちらでも結構ですが、接着力が強いものがお勧めです。

定規。切るためよりもむしろ、折る際に使用します。なくても可能ですが、あった方が楽かと思います。




基本的にはだいたいこのようなものですが、その他に何より重要なものがひとつあります。




それは、不屈の闘志です。
どんな困難も恐れず、幾度の失敗にも決して屈せず立ち向かう侍魂です。

・・・ここにおいでの皆様に改めて申し上げる必要はありませんね。釈迦に説法でした。失礼しました。




それでは、まず頭部から組み立てに入ります。


おっとっと、まだ切り出さないで下さい。
その前にまず鼻を接着します。切り出す前の方が楽なのです。

まず、頭部の鼻部分をカッターで三角に切り抜きます。
次に鼻を切り出して、折ります。折り目の方向はご説明の必要ありませんね。



折れましたら、いい感じに鼻が突き出すように、頭部の裏側から接着します。
糊は鼻の部品ではなく顔の裏側に塗った方がやり易いでしょうか。ただしその場合、鼻を汚さないよう注意が必要です。



人形は顔が命と申します。細心の注意を払って取り付けてください。




鼻が付きましたら、頭部を組み立てます。折る場所が多いので注意して下さい。

貼り付ける順番としては、
@上部を貼り付ける。
A上部が乾く前にすかさず左右を貼り付け、この時点で歪みがないよう調整する。
Bしかる後、斜め部分の四ヶ所を貼り付ける。
これが歪みを作らずうまく組み立てるコツかと思います。





頭部が完成しましたら、首を取り付けます。

首は切り抜いたものを丸めるのですが、一番簡単なのは適当な太さの棒状のものに巻きつけて、端を糊付けする方法です
。直径5ミリ程度の太さが理想でしょうか。



自分は手近にあった『拳銃の玩具の弾詰まりを取るための棒』がちょうど良い太さだったので、これを使用しています。
もし適当な太さの棒が見当たらず手で丸める場合でも、一旦太さの違うものでも何かに巻きつけて紙に癖をつけてやった方が綺麗に丸まります。お試しください。

頭部に貼り付ける際には、端部が後に来るように貼り付けますと、よく見るであろう前方からの見栄えが良くなります。





これで頭部は完成です。




次に、胴体に入ります。


基本的に箱組みにするだけですが、折る長さが長いので、手で折ると歪みやすくなっています。定規を利用して巧く折り曲げて下さい。
貼る順番は左右側面→底面の順が良いでしょう。


胴体ができたら腕の付け根を取り付けます。写真等を良く見て、折り方に気をつけてください。

まず胴体の側面に付く部分を先に貼り付けてください。それが充分乾いた後、肩に当たる側を貼ります。
腕の付く面が地面と垂直になるように注意して下さい。それでもし糊代が肩からはみ出した場合は、乾いてからはみ出し部分を切り取ってしまった方が綺麗に仕上がります。

    



なお、実物さながらに胴体内部を切り抜いて素通しに…ということもできなくはありませんが、強度的にちょっと厳しいのであまりお勧めはしません。


乾いたら、頭部を貼り付けます。
前後を間違えないように。赤いワンポイントのある方が前です。
どちらかというと俯き気味よりも、反対に上向き気味の方が良いでしょう。




ここで、下半身の方へ入ります。
まずは簡単な右脚から組み立てましょう。


右脚はご覧の通りただ折って一ヶ所貼り合わせるだけですが、胴体にも増して長い辺を一度に折るので、やはり歪みが出易くなっています。ここも定規を利用して丁寧に折った方が良いでしょう。

折れましたら、側面の丸い関節を6つと、踝(くるぶし)を貼り付けます。
当然ですが“上”と書かれた方が上ですので、踝はその反対側に付けて下さい。足が付く面があまり歪まないように。
足はここではまだ付けないで下さい。




次に左脚です。この先行者一番の難所といえる部分でしょう。
こちらは構造が少々複雑なので慎重に組み立てて下さい。切り取り線も間違わないように。

組み立てはまず初めに脛に当たる部分を箱断面に組んで、その次に股に当たる部分、最後に腿の部分、の順で組み上げるのが良いでしょう。ここは形状のせいで大変歪みやすいので、貼り付けの際には充分注意して下さい。



因みに初期段階では左脚はモナカ合わせの二分割になっていたのですが、貼り付ける際に左右方向だけでなく上下にもズレが生じてしまうためガタガタになってしまうので、一体化しています。
その代わり折りが少々込み入ってしまっていますが、完成度のためと何卒ご理解下さい。

首尾よく組み上がりましたら、右脚と同様関節と踝を貼り付けます。




脚が左右ともできましたら、腰部分で挟み込んで一体にします。
“上”の印がある方が前方になります。右脚は形状的には前後同じなのですが、後方になる面の色を暗くしてあるのと、貼り合わせる端面が前に出ないようにしてありますので、“上”の印が前になるように組み立てて下さい。
位置としては腰関節の中心と脚の中心線が合うように、また、胴体との接着面と脚が垂直になるように注意して下さい。
左右の脚を平行にするのもお忘れなく。

           





胴体と貼り合わせてからでも良いのですが、そうですね、ここで関節の突起部分を付けてしまいましょう。

基本的な工作は首とまったく同じです。関節の長さが二種類ありますが、短い方は脚の一番上と踝に付きます。
脚の一番上が短いのは、手が当たってしまうからですね。
中華キャノンは実物に忠実にするのなら関節と同じ太さのわけなのですが、やはり一回り太くしたくなりますね。作例でもそうしています。更に力強さを演出したい場合は、余白を切り抜いて細く巻いたものをまず貼り付け、その外側へ太めに巻いたキャノンの部品を付けると良いでしょう。、



首と同様に、端部が見えにくい下に来るように揃えると見栄えが一層良くなります。



乾いたら最後に足を取り付けます。
基本的に左右の足は平行になっていますが、気持ち前が開くように付けた方が格好良いです。。
因みに先に足を付けなかったのは、腰部分で挟む際のズレで足が内股になってしまうのを防ぐためです。




下半身が完成したら、上半身と貼り合わせましょう。
頭部の貼り付けの際にも申しましたが、心持ちそっくり返り気味になるようにすると味わいがでます。




さて、もうひとふん張りです。がんばりましょう。
残る腕の組み立てに入ります。




…と、その前にひとつお詫びがあります。
腕の部品、右左の表示を漏らしてしまいました。申し訳ありません。
といっても形状はまったく同じなので、どちらをどちらに組んでも同じなのですが…


一応理想としまして「切り取り端部がなるべく見えない向き」「色が濃い方が下(または後ろ)」というセオリーに従いまして、

展開図向かって左が『左腕』
展開図
向かって右が『右腕』

ということにさせていただきます。
申し訳ありませんでした。重ねてお詫び致します。




それでは、改めて腕の組み立てに入ります。


腕そのものはただ箱組みにするだけなので、特に説明の必要なところもないでしょう。
一旦組み立ててしまうとどっちが左でどっちが右か判らなくなってしまいがちですが、先ほど申しましたセオリー通り、
「端部を(折り曲げたのではなく)貼り合わせた側が(見えにくい)肩の側」
「暗い色になっている面が下(または後ろ)」
この二つを基準にすればどちらがどちらかお判りになるでしょう。




箱組みが乾いたら、外側につく駆動ベルトを貼り付けます。腕の側に目安線が引いてありますので、それに合わせて付けて下さい。



そして最後に手を取り付けます。

腕や手の取り付け角度は、完成品の表情に大きく影響しますから、写真等を参考にして慎重に決めて下さい。
あえて実物に拘らず、「中華チョップ」状態などに組み立てるのも一興です。




皆様大変お疲れ様でした。
「卓上先行者」、本体は完成です。

あとは、飾り付けです。


左脚を上げていますので、当然このままでは自立できません。左脚の下に台を入れてやりましょう。




どうですか?立ちますか?


立ちませんか?




この「卓上先行者」、組み立て方によってはバランスの関係で自立しない場合があります。
しかし悲観する必要はありません。
ベースを作成して、そこへ貼り付けてやれば良いのです。


ベースといっても、適当な画像を一辺15センチ程度に拡大して印刷するだけです。
もし自立できる場合でも、ベースがあると見栄えがぐんと引き立ちますので、ぜひお試し下さい。

ベースに選択する画像は皆様のお好みとセンス次第です。
もっとも基本的なのが、「あの」白黒の先行者の写真。
あるいはあの写真のカラー版。
「日本製『先行者』開発プロジェクト」の中華サイズバナーもお勧めです。「踏み絵」状態になってしまうのが心苦しいところですが…



Web上で見られる色々な方の描かれた先行者イラストもよし、先行者CGのワンカットもよし、先行者ゲームの決めの一瞬もよし…
今思いつきましたが、中国国旗なども重厚な雰囲気が出そうです。
お好みで色々お試し下さい。




おっと、忘れそうになりましたが、実物の先行者に即してつっかいぼ…もとい、コードも再現されています。
ただし、ゲーム等での先行者のイメージを優先される場合は付けない方が良いかもしれません。
これはお好みでどうぞ。



付けられる場合は、かなり長めにしてありますので、適当な長さに切って下さい。
制御機械を自作されてそこへ繋ぐ、などというのも面白いでしょう。

また自立できない場合、これの長さと形状(曲げ具合)を調節することで、自立できるようになる場合もあります。


これで、全工程は終了です。








本日はお忙しい中、「卓上先行者 精密上級版」製作講習会ご参加いただきましてありがとうございました。
本会はこれにてお開きとさせていただきます。


そもそもほんの思い付き程度で始めたこの企画がここまで暴そ…失礼、発展し、そして遂にはあのシルチョフ兄弟社様のお眼鏡に叶い、制式採用されることになろうなどとは、まったくもって予想だにしませんでした。
この未曾有の「先行者熱波」に際してひとつの作品を完成させ、僅かながらも自分の足跡を残せたことを大変誇らしく思います。


最後に、弱卒の拙い講義にお付き合い下さいましたこと、改めて御礼申し上げます。
この「卓上先行者」が、皆様のお気に召しますことを願って止みません。
どうもありがとうございました。






それでは、ご武運を!




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